コール詐欺

空を見上げてごらん、そこにいるのは満天さん。

さてと、今日のお客様はどなた?

~ コ~ル詐欺 ~

「ちょっと、ちょっと、ちょっと!」

『むむ』

「あら、ごめんなさい。私ったら挨拶もせずに。こんにちは。初めまして、よろしくお願いいたします。」

『ふむ、(本当は初めてじゃないけどさ)』

「聞いてくださる?我が息子の話を。」

ふむ

「息子は平凡な中学生、我が家も平凡。

ところが大事件!コール詐欺、息子が、どうしましょう!

 久しぶりに地域でお祭りを開催、町会総出で盛り上がったわ。私も主人も参加して。

 その日、主人は町会のパトロールメンバーで町を巡回していたし、私は夕方にでも会場に行こうかしらと家事を済ませていたのよ。

 息子は午前中部活で、午後から友達とお祭りに出かけたの。お祭りのお小遣いは、奮発して2千円。お昼は友達と一緒に屋台の焼きそば?お好み焼き?たこ焼き?なんて楽しそうにね、ふふふ。」

『ふん』

「私は家事も一段落、夕食の下準備まで済ませて、少し休憩して炊飯器をセットして出かけようと思っていたところに、息子から電話!

“ お母さん、大変、お小遣いが足りなくなっちゃう。焼きそば、たこ焼き、ラムネ買って、みんなはポップコーンとか買うんだって、僕、お金が少し足りない。みんな、屋台の射的もするって言っているよ。どうしよう。”

“ まあ、みんな、お小遣いいくら持っているのかしら? “

“ わかんないよ!直ぐに持ってきて!3千円!“

えっ、そんなに?とにかくすぐに行かなくちゃ!

すぐに自転車に乗って、向かう途中で炊飯器セット忘れた事に気づいた。あ~、もう、悲しくなって、とにかく会場の入り口でお金を渡して、すぐに家に引き返した。そして、炊飯器セットした途端、また電話が鳴ったの。

“ お母さん、どうしたらいいの、お金が足りないよ。射的でどうしても欲しいものがあるのに、取れないよ。あと5千円だけお願い!”

“ えっ!5千円!どういうことなの?もう射的はやめたらどう?お小遣い自分でちゃんと考えて使わないとダメじゃない。”

“ 今日だけ特別!みんなと遊べないじゃないか!”

『ほお~、、、』

「えっ、遊べない?どういうこと?

普段は、お小遣いも持たせていないし、特に何か欲しがる子でもないし、今日は特別と思って、また会場に向かったの。今度は自転車置き場に自転車を止めて、入り口に向かおうとした時に、自転車置き場の担当のおじさんに声を掛けられた。

“ さっきも来てたね、何度もご苦労さん ”

“ 息子にお小遣いを届けにね、足りなくなって電話があって ”

“ 息子さん、いくつ?”

“ 中学1年生、やっぱりお小遣い必要よね、はぁ~、私の一日のパート代より高くなっちゃった ”

“ お母さん!それ、渡しすぎ!中学生、2千円で充分!今、はやりの振り込み詐欺!騙されやすいタイプでしょ!気を付けて!”

あ”あ”あ”――――

やられたわ、息子からのコール詐欺!」

『うむ。』

「後で、息子の友達の親に聞いたら、その親は自分の息子がいくら持って行ったか知らなかったらしく、びっくりしていた。問い正したら、こっそりお年玉をカードで引き出していたんですって。私は更にびっくり、カードを、子どもが!

 お祭りも終わり、今日の出来事をお父さんに報告!

 息子はお父さんから叱られて、家族でお金の話をしたの。お小遣いが必要な時は?その渡し方は?金額は?結局、話し合いの結果、毎日、100円。小学生みたいだけど。私達も渡したお小遣いについてはうるさい事を言わない約束もしてね、本当は言いたいけどね、辛抱辛抱。そしてお父さんから貯金箱のプレゼント。自由に開けられるところが良いところ。透明の貯金箱、中が良く見える。使わない時は、この中に入れておくといいよって、息子は喜んで、“ 僕、おつりもここに入れるよ ”って、ふふふ。

 お年玉も話し合った。お年玉は息子から貯金したいからと言ってきたから、今まで通りね。

 お父さんが、息子にちょっときつい一言。

君はいずれ大人になって自立するんだよ。そこからが人生の本番スタート。その時、もう一度、君が貯金したお金について自分で考える時がくる。だから通帳のお金はその時まで大事にしようね。

それとね、お母さんは素直で騙されやすいから、君が緊急事態でも電話はダメだよ。緊急事態は近くの交番に行けばいい。きちんと顔を合わせて話をしようね、お金の使い道。

お父さん、私にもきつい一言。

お母さん、これからは例え息子でも電話の要求は聞いてはダメ。息子や僕は電話しませんからね。すぐに警察に通報しなさい。息子も私も納得、納得。

はい、分かりました。

これで我が家のコール詐欺は解決。安心、安心。」

『ほっほう』

~満天さんのつぶやき~

『大昔はね、貝や石、物品などがお金の代わりに活躍していたんだよ。

ああ、そういえば、このお母さん、あの頃、同じことを親から教えてもらっていたねぇ。

ほっ、ほう!」』



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です