満天さんの談話室
空を見上げてごらん、そこにいるのは満天さん。
今日の来談者は誰かしら。
~湯豆腐~
「ごきげんよう。」
『やあ!ごきげんよう。』
「満天さんに幸せのお裾分け!娘もようやくこの春に社会人、同居の義母の介護も始まったばかり、とても新鮮さも感じる、不思議でしょ、介護なんて言うと周りはね~、でも幸せ!」
『おぉ。』
「ふ、ふ、ふ、
結婚して、25年。私は専業主婦だから、家事や育児の毎日だったわ、まあまあね、いろいろな事もあったけど、私は夫に頼りきりの生き方しか出来なかった。まあ、そういう人生なんだと思っていたから、何とか受け入れて、、、受け入れざる得ないしね。
娘はね、小さいころから大変で、人見知りが激しくてね、人一倍。精神年齢も未だに幼い!社会人にもなるのにゲームセンターで、ほらほら、あれよ、ぬいぐるみ!ゲットして喜んでいるのよ、ったくね!
そんな子だから、学校では周囲と上手に付き合えなくてね、不登校になったりもしたのよ、地元の高校にギリギリで入れて、次は朝、起きられなくなってね、医師からは起立性調節障害って言われて、私の方が受け止めてられなくて、実際 “さぼりでしょ” ってね、思っちゃた。
高校は毎朝、遅刻寸前、車で送って。休日の朝食は、テーブルで半分眠りながら、こっくり、こっくりと、寝てる?食べてる?かって。その子がね、社会人!この先どうなることやら。
主人も忙しいからって、子育てに協力も何もなく、学校行事に参加したこともないのよ。
それでもね、娘には甘い!顔を合わす時間も少ないから、怒ることも叱ることもなく。家事も子育ても介護も、まるで関係ないって感じでね、要するにいいとこ取りよ。
そんな中で、義母との同居も始まり、静かな人でね、当初、どう接していいのか分からなくて、“お義母様!遠慮しないで”って思ったぐらい、良くも悪くも何でもね。」
『ほう!』
「実は昨夜ね、こんな事があったの。主人は湯豆腐が好きでうちはよく湯豆腐をするの。」
『ほ~!』
「義母も湯豆腐は好んで食べてくれるのよ。昨日の夕飯も湯豆腐!主人は遅いと思っていたから、娘と義母と先に夕飯を済ませて、そしたら主人が帰宅して、てっきり外で夕飯を済ませると思っていたから、“食事!”って、湯豆腐を出したら、“またか、腹減ってるのに、おかずにならん!”って言うの。まあね、おかずにはならないのかも、でもね、私たちは、湯豆腐はおかずだけどね、まあまあ、そんな事で主人には、お魚焼いたり、前日の残り物なんかでおかずを出して。
そうしたら、義母がね、急にまたテーブルに着いて、自分でご飯をよそって、主人の湯豆腐を取ってね、上手にご飯の上においてね、ポン酢をかけて食べ始めたの。 “美味しい、美味しい” って言いながら、、、
主人はね、バツの悪そうな顔して、まあ最後まで何事もなく夕食済ませてくれたわ、義母もね、何事もなかったようにしていたけど。
私は何も聞かないし、言わないって決めているの、どうして義母が夕飯をまた食べ始めたのか、主人に対して何か言いたかったのか、私に対してなのか、もしかしたら認知なのか、分からない。 ”見ざる聞かざる言わざる“ 私も何も考えないことにしたの。
私は、今の生活をそのまま、ありのまま受け止めていこうと思っている。」
『うん。』
「私の知り合いの多くは働いている。私のように専業主婦は少数派。主人も娘もそれでいいと思っているのかな、家計も大変な時もあったけど何とか乗り越えてきたし。
裕福な家庭とは言い切れないけど、まあまあ普通に、買い物だって、スーパーで食べたい物ぐらい買える、ローンも大変だったけど何とか払えた、主人が頑張ってくれた。
そうね、共働きだったら、友達と食事や映画、旅行もして、高級化粧品やブランドの洋服やバッグも持っていたかも、ね。
以前はね、働いているママ友がイキイキして見えて、子育ても仕事も全てが羨ましかった。私はね、主人頼りの人生だったけど、今は、それで幸せだなぁって感じる。娘や主人を送り出した後、ベランダで洗濯物を干したり、お布団を干してパンパンとはたきながら太陽の日を浴びる幸せ、、、娘を幼稚園に迎えに行き、夕飯のメニューを考える幸せ、娘を高校に送る時の私の存在感、義母の下着を洗ったり、家事をする私、それだけでいい、何もない、普段通りの生活、この先も主人と二人きりの生活になっても、歳を老いても、このまま生活を送るでしょう。
私にとっては、この生活が何もない生活が、かけがえのない幸福な生き方、でしょ!
私は満天さんに今日、これを伝えたくて来たのよ!
ありがとう、満天さん、あなたもお幸せに!」
~満天さんのつぶやき~
『幸せって、自分の心が決めること、
何も気にしない!
人に気を取られず、今の自分と向き合って、
“当たり前の幸せ“ に気づくとね、もっともっと幸せが増えていくよ。』