~ダンス!ダンス!ダンス!~

空を見上げてごらん、そこにいるのは満天さん。

お~や、

まんまる笑顔がやってきた。

~ ダンス!ダンス!ダンス! ~

「報告!」

『ん?』

「文化祭! 絶対、来て!」

『ん~、こっちは夜中だけどね。』

「ダメ!私が踊るのよ、めっちゃ!頑張った!センター!絶対!踊るって!

前前前世と恋!満天さん!知ってるの?」

『ふん』

「中学の時は、高校なんて考えられなかったし、いじめの不安もね。

 満天さんは、上からずっと見ていたでしょ。」

『ああ』

「小学校の時、両親は離婚し私は転校した。お友達も出来たし、先生も優しかった。

 でも、中学に入って様子は変わった。親はフルタイムで働くようになったし、一番仲良しの子は中学受験で私立合格。

 中1の2学期、忘れない、だって授業参観日だったもの。

そして、そこから始まった悲劇。

 あの日、友達と普段通りにおしゃべりして、3時限目が終わり休み時間になると、あまり話さない後ろの席の女子が「一緒にお手洗い行こうよ」と声を掛けてきて、私は普通に「いいよ」と答えた。女子トイレには、その学年で悪ぶっている女子が一人いた。いきなり私に「生意気な態度を取ってんじゃないよ」と言った。えっ!頭は真っ白、頬を殴られた。“えっ?何?” 気づいたら二人はいなかった。私は我に戻り急いで教室に戻った。

チャイムがなった。私が自分の席に着くと同時に「起立」と声が聞こえた。私は泣けてきた、「礼」の時にボロボロと涙がこぼれ落ちた。先生は私に気づいていた。でもそのまま皆が着席し授業が始まった。後ろには保護者がずらりと並んでいた。ママはいない。

 先生は何も言ってくれない。私は呆然として、授業も、どうやって家に帰ったのかも覚えていない。

 私はクラスの友達が怖くなった。近くのアパートの子と一緒に行動した。その子が学校を休むと遠い道のりを一人で歩いた。

 3学期に入り、後ろの席のあの女子からまた声を掛けられて咄嗟に逃げ出し、アパートの子と一緒に帰った。帰りにその子のおばさんが経営しているおにぎり屋さんに寄った。今までに食べたこともないような、ふわふわのご飯に大きな鮭が入っているおにぎりをもらって食べた。感動しちゃって、泣いちゃった。その帰り道、“私もいじめられている。あの子、表面はいい子に見せているけど気をつけて、あの子の本性、皆、知らないんだよ、先生も親も” と教えてくれた。」

『あぁ』

「そのうち、アパートの子は学校を休みがちになった。母親が病気だからと聞いた。一緒に登下校出来ない日は心細かった。

 後ろの席の女子は頻繁に、クラスの子に上手い事言って私を呼び出す様になった。

 トイレから出られないようにされ、授業中も閉じ込められた。休憩時間になるとドアの外のストッパーを外すの。先生も私が授業をさぼっていると思っていたらしい。ホースで頭から水をかけられ、長い柄のある束子で “汚い、臭い” と言って、制服をゴシゴシこするの。怖くて抵抗できなかった。体育館の後ろは急な斜面になっていて、何度も突き倒され転がった。学校に行けなくなった。

 親にも先生にも言えない。

 毎朝、家を出て親が仕事に出かけてから家に帰る。

 2年になる時、先生からの連絡で親が初めて不登校を知った。

 3年になり、スクールカウンセラーのカウンセリングを受けることになり、最初は電話とメールのやり取りだけだったけど、皆が授業中だったら会わなくて済むからと言われて相談室に行くことになった。」

『ほう』

「1学期も後半、カウンセラーからサポート教室があることを聞き、そこに通う事になったの。そうしたらアパートの子も通っていて、また一緒に通った。

 サポート教室は不登校の生徒や経済的に苦しい子ども達の教室だった。

 教室は居心地良く、先生達は真剣に話を聞いてくれた、勉強が楽しいって初めて思ったの。

 そろそろ志望校を決めなくちゃ、皆と同じように高校見学に行った。アパートの子は成績が良くて、おにぎり屋さんのおばさんの援助もあって有名な私立高校に合格!すごいでしょ。将来は看護師さん!私はというと、あこがれのダンスで有名な私立高校は出席日数が足りず断念。サポート教室の先生が、不登校枠がある高校を調べてくれて、それが今の高校、ダンス部はある。だけど行きたかった私立高校には負ける。

高校進学やめて働こうかな、どうせ、うちは貧乏だし。

 サポート教室の先生は、たくさん悩んでいいよって、進学も就職も焦って決めなくていいよって、自分で悩んで自分で決めていいよって、言って待ってくれた。

悩んで悩んで決めた!決めた理由は、ダンス部を日本一にしようって決めたから!」

『ほっ、ほう!』

~満天さんのつぶやき~

『みんなが持っている、乗り越える力

もう、君は大丈夫

ダンスは世界でNO1




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